動きながら学び、自分を作る
意思通りに身体をコントロールできることは人格形成にとってとても大切です。
動きながら学び、自分を作る力が子供には備わっています。
子供の成長において前提となるのは、ひとりひとりの特性や育ちのペースは異なるということです。
そして、成長の中で子供はいつも課題に立ち向かっています。
しかし敏感期と呼ばれる特別な時期を生きる子供は、自分の身体を使って様々なことを吸収することができるのです。
子供は繰り返し手を動かし試行錯誤して知性を自発的に働かせることによって、自分のエネルギーを存分に発揮し、自分を作っていきます。
子供が何かの作業に取り組む中で、困ったときに頼れる存在(親や先生など大人である私たち)は、安心して作業に没頭するために必要不可欠です。
思い通りにいかず「できない!」と声をあげることは、成長過程の子供には常に発生する出来事です。
そんな時私たちは、愛情をもって自分でできるようになるための手助けをすることが重要です。
子供の「できない」のメッセージの奥には、「自分でやってみたい」 「困難を乗り越えたい」 「わたしがひとりでするのを手伝って」という要求があります。
その要求に耳を傾けよく観察し、子供が自分で力を発揮できる適切な環境を整える必要があります。
その環境の中で繰り返し実行していき、少しずつ洗練させ、子供はできるようになっていきます。
人格形成につながる、変化への道筋
モンテッソーリ教育では、子供が変わるにはある一つの道筋があるとされています。
その道筋とは、人格の形成で通過する活動の周期であり、この周期を経過して子供は成長し変わっていくのです。
上記の活動周期を実現することで、子供は精神的エネルギー(知性と意志のエネルギー)と肉体的エネルギー(運動で働くエネルギー)が統合されます。
幼少期には、精神的エネルギーと強烈な肉体的エネルギーが作用し合うことで統一した人格を作っていきます。
子供は夢中になっていることを中断させらたとき、不愉快さが残ります。
そしてその状態では精神的エネルギーと強烈な肉体的エネルギーが統一の手立てを失い、子供に困った様子が生じます。
しかし子供は、知性や意志を働かせて心身のエネルギーを統一できる活動を集中してやり遂げた後には良い状態に変わります。
そして、積極的に難しいことに挑戦し、主体的に学ぶ態度を現し始めます。
子供の変化の中では、仕事における忍耐や他人への援助と理解という社会的感情が育っているのです。
敏感期とは
子供は、「敏感期」とよばれるすばらしい時期を生きています。
それは、敏感な感受性に伴い強烈なエネルギーが溢れ出す特別な時期なのです。
具体的に言うと敏感期とは、幼少期にある能力を獲得するために、環境中の特定の要素に対して、それを捉える感受性が特別に敏感になる期間です。
そして、敏感期にはいくつかの特徴があります。
敏感期に生じてくる強烈な生命力と、知性の強い自発的な力をともに発揮できるような対象に出会うと、子供は深く集中していきます。
そして、心と身体を総動員して何度も繰り返します。
そこにも、肉体的エネルギー(敏感期の力)と精神的エネルギー(知性や意志の力)の統合が実現されているのです。
子供が自分の知性と意志で自分の身体を動かして心ゆくまでその活動に没頭し、自分の精神と肉体のリズムを取り戻すと、統一のある良い状態に変わるのです。